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【お知らせ】 取締役山口がデータサイエンティストとして携わった空間デザイン作品が、心斎橋パルコに展示されます!

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弊社取締役山口がデータサイエンティストとして作品に携わった、KiQの菊地あかねがディレクションする空間が心斎橋パルコ5Fフロアに2020年11月に完成。 この作品は、大阪の様々な風景を撮影し、そこに写り込んだ色をAI・機械学習により抽出、それを菊地氏の感性によりかさねの色目、折り紙のように見立て空間デザインに実装しています。現代の大阪ならではの空気や景色といった暗黙知の領域を表現するデータビジュアライズを、商空間の壁や天井などの内装デザインに実装した作品です。

山口は主に街の風景の写真から色と順序、並びにその割合を生成するアルゴリズムを担当いたしました。以下本人からのコメントです。

ひょんなことから始まったプロジェクトでした。クリエイティブ視点による高度な感性から機械学習でのアウトプットをどうアートにするかの部分に関してはとても苦労しましたが、様々な案やプロトタイプを出しつつKiQの菊地氏からディレクション・意見いただくことで、最終的に磨きのかかった良い空間作品に仕上がったのではないかと思っています。制作に携わっていただいた皆様に感謝申し上げます、ありがとうございました!!大阪・心斎橋にお立ち寄りの際は是非足を運んでいただけると幸いです!

KiQ / https://kiq.ne.jp/ 心斎橋パルコ / https://shinsaibashi.parco.jp/

  • Direction: 菊地あかね ( KiQ )
  • Design: 征矢野優太、藤山愛弓 ( KiQ )
  • Data Scientist: 山口貴大 ( atma )
  • Art: 柳澤顕 ( ARTCOURT Gallery )
  • Camera : 松下和暉
  • Construction: 竹中工務店,パルコスペースシステムズ

アルゴリズムについて

写真から色を取り出すアルゴリズムは大きくわけて

  1. 写真内に存在する色をクラスタリングし代表的な色を選択
  2. 写真内で代表色ごとに、色の割合を計算
  3. 色を並び替え、割合に応じて幅を調整して描画

という3つのフローから構成されています。

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クラスタリングや割合計算には機械学習を用いていますが、ベーシックな機械学習アルゴリズムをそのまま使うのではなく、クラスタの計算方法・重み付け方法・ハイパパラメータ等、人間が視覚で感じる特徴に近づくよう独自の調整を行い、より写真が持つ、色としての雰囲気が伝わるような工夫を加えています。

山口コメント

業務でも機械学習やAIを作成することは頻繁にありますが、その場合性能改善が目的となる場合が多く、今回のように人が視覚やカメラを通して表現される時の感覚 (特定の写真らしさが色に出ているか) に訴えることができるかどうか、という主観に大きく依存する観点ではありません。

今回の「その1枚の写真らしい色の組み合わせを作る」という問題は、主観に依存する部分も大きい、正解がないタスクでしたので、とにかくたくさん作ってみて良いものを選んでいく方法が最適だと考えました。はじめナイーブに思いつくアルゴリズムからスタートして、アウトプットを自分やKiQチームに確認していただいてフィードバックをもらい、再度アルゴリズムやパラメータを修正・場合によっては全体のフロー自体を挿げ替えというPDCAを高速に回すことで、ブラッシュアップを図りました。

通常お仕事でやる機械学習はアウトプットを数値化して評価できるよう設計することからスタートすることが基本ですので、今回通常と大きく異なった観点での思考を求められ大変な部分は多くありましたが、人間と機械学習の在り方の違いとその共存、データビジュアライズと機械学習を組み合わせていく可能性に触れることができとても楽しい時間でした。